土地分筆登記とは
登記簿では、土地は「一筆(いっぴつ)」という単位で、一つずつ地番をつけて管理されています。一筆の土地の一部だけを売ったり、名義を分けたりすることはできないため、先に土地を線で分けて、それぞれを別の筆にする必要があります。この登記が分筆登記で、土地家屋調査士の担当です。
分筆すると、元の地番の土地と、新しい地番(たとえば「123番」が「123番1」と「123番2」)の土地に分かれます。それぞれの土地の形と面積を示す地積測量図を作って法務局に申請し、登記が完了すると、別々に売買・贈与・担保の設定ができるようになります。
先に境界の確定が必要な理由
分筆登記には、分けた後の各土地の形と面積を正確に示した地積測量図を添付します。この図面を作るには、分ける線だけでなく、元の土地の外周の境界(隣の土地や道路との境界)が確定している必要があります。外周が決まらないと、分けた後の土地の面積が決まらないからです。
そのため、土地全体の境界がまだ確認されていない場合は、分筆登記の前に境界確定測量(隣の土地の方や役所と現地で立ち会って境界を確認する作業)を行います。分筆のご相談のうち、実際には境界確定から始まるものが大半です。過去に境界確定測量を行っていて、その図面と境界標が現地に残っていれば、この工程は短くなります。
土地が広く、分ける部分から遠い境界まで全部を確認するのが現実的でない場合は、一部の境界確認を省ける取扱いが認められることがあります。法務局が定める条件があり、土地の広さと状況によりますので、ご相談のときにお伝えします。
分ける線の決め方
分筆の線は、面積さえ合えばどこに引いてもよいわけではありません。線の引き方しだいで、分けた後の土地に家が建てられなくなったり、売りにくい形になったりします。当事務所では、次の点を確認しながら、お客様と、必要に応じて建築会社・不動産会社と一緒に線を決めます。
- 分けた後の土地が道路に十分に接しているか(建物を建てるには、原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります)
- 分けた後の土地の広さと形で、建てたい建物が建蔽率(敷地に対して建てられる建物の面積の割合)・容積率(敷地に対する延べ床面積の割合)などの制限の中に収まるか
- 既にある建物・塀・浄化槽・上下水道の管・電柱が、分けた線をまたいでいないか
- 残す側の土地が、将来売る・建て替えるときに困らない形になっているか
- 住宅ローンや売買の契約で、面積や形に条件がついていないか
進め方
- ご相談・現地の下見。土地の状況、分ける目的、期限を伺い、内訳付きのお見積りをお出しします(無料)
- 資料調査。法務局の公図(土地の並びと形を示す公的な地図)・地積測量図・登記簿、市役所の道路台帳、過去の測量資料を集めます
- 現地測量と境界確定。境界が未確定なら、隣の土地の方・役所と立ち会って境界を確認し、境界標を設置します
- 分ける線の決定。測量結果をもとに分筆の案(図面と面積)を作り、お客様・建築会社・不動産会社と確認します
- 分筆点の杭の設置と地積測量図の作成。分ける線の両端など、新しい境界の点に境界標を入れます
- 法務局へ申請。完了後、登記が完了した書類と地積測量図の写しをお渡しします
- 売買・贈与・担保の登記が続く場合は、同じ窓口の司法書士へ引き継ぎます
期間が延びる要因
目安は2〜3ヶ月です。境界確定が済んでいる土地なら短く、次のような場合は長くなります。
- 境界確定測量から始める必要があり、隣の土地の方や役所との立会いが入る(役所の立会いは日程が1〜2ヶ月先になることがあります)
- 登記簿の面積と実際に測った面積が大きく違い、分筆と同時に地積更正登記(登記簿の面積を実測に直す登記)が必要になる
- 分ける線の決定に、建築計画や売買条件との調整が要る
- 土地に抵当権がついていて、金融機関との調整が必要
- 年度末・年末の繁忙期
費用の決まり方
費用は、境界確定測量が必要かどうか、土地の広さと形、分ける数、隣の土地の数、道路との境界確認の有無で一件ごとに変わります。当事務所では金額表を置かず、状況を見てから内訳付きでお見積りしています(見積りは無料です)。
分筆登記には、分けた後の土地の数に応じた登録免許税(国に納める税金)が別途かかります。沖縄県内の統計上の目安は、費用と期間の記事にまとめてあります。
用意できるとよい資料
無くても進められますが、あると調査を省けて費用と期間を抑えられます。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)や固定資産税の課税明細書。地番が分かるもの
- 以前に測量したときの図面、境界確認書、境界の写真
- 分け方の希望が分かるもの(手書きの図で構いません)。売買なら契約書や不動産会社の図面、建築なら配置図
- 売買の決済日・融資の実行日など、期限が分かるもの
抵当権がついている土地を分ける場合
住宅ローンなどの抵当権がついている土地を分筆すると、抵当権は分けた後の両方の土地に残ります。一部を売る・子に譲るには、その土地から抵当権を外す手続き(司法書士の担当)を金融機関と調整する必要があります。分筆の前に金融機関へ相談しておくと、後の手続きが滞りません。
分筆の先にある手続き
分けた土地を売る・贈与する・担保に入れるときの所有権移転登記や抵当権の登記は司法書士の担当です。当事務所は司法書士事務所と同じ窓口にありますので、必要になれば同じ場所で司法書士から直接ご説明とお見積りをいたします。それぞれの登記は、その資格を持つ者が自分の責任で担当します。
分けた土地に家を建てる場合の建物表題登記(新築した建物を初めて登記簿に載せる登記)、畑や雑種地だった部分を宅地にする場合の地目変更登記(土地の使いみちの区分を登記簿で直す登記)は、当事務所が引き続き担当します。
よくある質問(土地分筆登記)
- Q. 分けたい部分だけ測ればよいのではないですか。
- 分けた後の土地の面積を確定するには、元の土地の外周の境界が決まっている必要があるため、原則として土地全体の境界確認が先になります。土地が広く、分ける部分から遠い境界まで全部を確認するのが現実的でない場合は、一部を省ける取扱いが認められることがありますので、ご相談ください。
- Q. 隣の人の立会いなしで分筆できますか。
- 境界が確定していない土地では、隣の土地の方との境界確認が必要です。過去の境界確認書と境界標が残っていれば、改めての立会いを省ける場合があります。立会いのお願い・日程調整・ご説明は当事務所が行います。お客様のご同席は必須ではありませんが、隣の方との関係によっては、ひと言ご挨拶いただいた方が円滑に進む場合もありますので、その時々でご相談します。
- Q. 分けた後の地番はどうなりますか。
- 元の地番に枝番がついた形になります。たとえば「123番」を二つに分けると「123番1」と「123番2」になり、元の「123番」は無くなります。住所については、「○丁目○番○号」の住居表示が実施されている地域では分筆で変わりません。地番をそのまま住所にしている地域(沖縄県内には多く残っています)では、建物のある土地の地番が枝番側になると住所の表記も変わることがあります。
- Q. 登記簿の面積と実際の面積が違うと言われました。
- 古い登記では、登記簿の面積が実測と合っていないことがよくあります。差が一定の範囲を超える場合は、分筆と同時に登記簿の面積を実測に直す地積更正登記が必要になります。分筆の測量の中で分かりますので、その時点でご説明します。
- Q. 畑の一部を宅地にして家を建てたいのですが。
- 分筆登記のほかに、農地を宅地にするための農地転用の許可(または届出。市町村の農業委員会に申請します)と、家を建てた後の地目変更登記が必要です。分筆・転用・地目変更は順序を間違えると手戻りになりますので、最初に全体の順序と期間を整理してご案内します。